電験3種を定年後に取得するメリットや再就職に活かす方法は?
2017/05/02
2019/03/04
第3種電気主任技術者(以下、電験3種)とは、オフィスビルや商業施設などで使われている、事業用電気工作物の保安監督業務を行うことのできる資格です。電気関係の資格の中では、難易度の高い試験の一つであり、有資格者を求めている職場もたくさんあります。受験資格が特に定められていないので、中高年になってから取得を目指す方も珍しくありません。
そこで、今回は定年後に電験3種の資格を取得する方法や資格の生かし方を解説します。
この記事を読めば、試験に合格するための勉強のコツなども分かることでしょう。電験3種の資格取得を目指している方は、ぜひ読んでみてくださいね。
1.電験3種とはどのような資格?
電験3種とは前述したように、電圧が5万V未満の事業用電気工作物の保安監督業務を行うことができる資格です。事業用電気工作物とは、高電圧の受電設備・変電設備・配線・発電設備などで、オフィスビルや大規模な商業施設・ホテルや旅館・学校などに設置されています。
事業用電気工作物は、電気事業法によって設置者が定期的に自主点検をするように義務づけられており、自主点検は電気主任技術者の有資格者でないと行えません。
電圧が5万V未満の事業用電気工作物を設置している施設はたくさんありますので、有資格者の需要も高くなっているのです。
2.定年後に電験3種を取得することは可能?
この項では、電験3種を取得する方法や定年後に資格を活用する方法などを紹介します。どうすれば、資格を取得できるのでしょうか?
2-1. 電験3種を取得する方法
電験3種の資格を取得するには、二つの方法があります。一つは専門学校や短大・大学など経済産業省に認定された学校を卒業した後、電圧500V以上の電気工作物の工事や維持・運用の実務経験を積み、認定を受ける方法です。電気に関する勉強を行い、電気工事士として働いてきた方向けの方法ですが、認定条件は厳しく、何回も認定審査を受けてやっと資格を得られた人もいます。
もう一つは、電気技術試験センターが主催する試験を受けて合格する方法です。こちらの方が一般的で、受験資格も定められていません。ですから、毎年幅広い年代の方が受験します。
2-2.定年後でも資格取得は可能?
電験3種の資格は、理論・電力・機械・法規の4科目を3年以内にすべて合格すれば、取得できます。ですから、最初の年に2教科を取得し、残り2年かけて1教科ずつ合格していくという方法での合格も可能です。1年かけて1教科に合格すればよい試験ならば、簡単そうに思えるかもしれません。しかし、電験3種の試験は、電気数学の知識が必要です。計算問題が多数出題されるため、ただ参考書を暗記しただけでは、合格できません。公式を覚えて応用する力が必要です。
電気工事士として長年仕事をしてきた方ならば、認定を受けて電験3種の資格を取得することができるでしょう。今まで全く電気と無縁の仕事をしてきて定年後から勉強を始めて取得したいとなると、かなり難しい試験です。時間をかけて勉強していきましょう。
2-3.定年後に資格を活用する方法
電験3種の有資格者が行う事業用電気工作物の点検は、体への負担が少ない仕事です。ですから、定年を迎えてからも働く方が珍しくありません。事業用電気工作物の点検を請け負う会社の中には、常時、有資格者を求めて求人を出しているところもあるでしょう。事業用電気工作物を設置してある施設に、直接雇われる方法もあります。
有資格者はビルメン(ビルメンテナンス業務)業界にも求人が豊富です。ビル管理の仕事も、定年以降も続けられる仕事として人気があります。資格を取得していれば未経験者でも就職や転職に有利でしょう。
また、ビルメン業務の中にはテナントや利用者との折衝業務も含まれており、若い年代の方よりも、ある程度年齢が高い人の方が向いている職場もたくさんあります。
3.電気主任技術者試験の勉強などについて
電験3種の試験は、年に1度行われ、2019年度の試験は9月1日に予定されています。申し込みは電気技術試験センターのホームページから行えますので、必ず目を通して確認しておきましょう。1科目につき60%以上の得点率で合格ですが、平均点が低い年だと60%未満でも合格することがあります。合格率は10~20%の間を推移しており、しっかり勉強しておかないと合格できません。
電気主任技術者の勉強方法には、独学と通信教材を利用した方法・講習会を受講する方法があります。定年を迎えてから試験に挑戦しようとする方は、電気に関する知識の量で勉強方法を選びましょう。
すでに電気工事士として長い実務経験を持っている方や、電気工事施工管理技士の資格を取得している方は、独学でも合格ができます。
理系の大学や短大・専門学校などを出た方は、通信教材の利用がおすすめです。書店で販売されている参考書よりも丁寧なテキストがついてきますので、分かりやすいでしょう。
全く知識がない状態から勉強を始めたいという方は、まず市販の参考書の中身を確認してみてください。何を書いているか分からない場合は、電気数学の勉強から始める必要があります。電気数学の参考書を読んで理解ができるようになったら、通信教材や講習会で勉強しましょう。定年後から勉強を始める場合は、1年近く勉強時間を設けた方がよいでしょう。
勉強方法などについては、こちらの記事にも詳しく記載されています。あわせて読んでみてください。
4.電験3種に対するよくある質問
Q.定年後に資格を取得し、未経験の有資格者でも求人はありますか?
A.電験3種は、未経験でも求人がある資格です。また、定年前の仕事の経験も再就職に役立つことでしょう。
Q.電験3種の資格を活用して仕事をしたい場合、ほかに取得しておけばよい資格はありますか?
A.普通自動車免許を取得しておきましょう。また、危険物取扱者もおすすめです。
Q.独学で勉強する場合は、何時間ぐらい勉強時間が必要でしょうか?
A.人によって異なりますが、半年以上は勉強しているとよいですね。
Q.電験2種や1種も、定年後に取得は可能でしょうか?
A.不可能ではありませんが、2種は電気に関する専門学校を卒業したレベルの知識、1種は大学の工学部電気科を修了したレベルの知識がなければ、合格できません。定年を迎えてから勉強して習得するには、かなり難しい資格だと思います。
Q.電験3種の試験には、電卓の持ちこみは可能ですか?
A.はい。普通の電卓を持ちこめます(関数電卓は不可)。
おわりに
今回は、定年後に電験3種を取得するメリットや勉強方法などを紹介しました。電験3種の試験は、学生から高齢の方まで幅広い年代の方がチャレンジする試験です。定年後の再就職に役立てたい場合は、できれば50代半ばくらいには勉強を始めましょう。2度や3度の不合格ではあきらめないことが大切です。