電気事故の報告はどのようにすればいい? 報告先や方法を解説します!
2017/08/07
2019/11/20
電気事故とは、電気機器や電気設備の故障や不良、さらに誤った使い方などによって発生する事故の総称です。電気を使っているすべての場所で発生する可能性があります。
特に、高電圧の電気を使用する事業用電気工作物(自家用電気工作物)で電気事故が発生すると、周辺の電気設備に影響を与えたり、事故を起こした人が死亡したりすることも珍しくありません。そのため、電気事業法によって電気事業者や自家用電気工作物を設置している施設の所有者は、電気事故が起きた場合に報告義務が定められています。
今回は、電気事故の報告義務について解説しましょう。
この記事を読めば、電気事故の報告方法だけでなく対策方法などもよくわかりますよ。電気関係の仕事に就いている方や、電気関係の資格取得を考えている方は、ぜひ読んでみてくださいね。
1.電気事故とは何か?
電気事故とは、前述のとおり電気機器や電気設備の故障や不良、さらに間違った使い方を原因とする事故のことです。漏電事故や感電事故の他、電気火災・過負荷による過熱・電気工作物の破損などがあります。高電圧の電気を使用する事業用電気工作物が電気事故を起こした場合、周辺の電気機器にも影響を与えることがあるでしょう。
また、発電所で発電支障事故が発生すれば、大規模停電などが起こり、多くの場所に影響が出ます。そのため、発電所や変電所をはじめとする事業用電気工作物を設置している場所では、電気主任技術者による定期点検など、電気工作物を安全に使用する規制が定められているのです。
なお、自然災害や交通事故などが原因で電気工作物が破損した場合は電気事故になりますが、落雷による感電事故は電気事故に含まれません。
2.電気事故の原因と対策
この項では、電気事故の原因と対策について解説します。どのような原因で電気事故は発生するのでしょうか?
2-1.電気事故の原因
電気事故の主な原因には、
- 電気工事中、もしくは電気工作物の点検中に誤った操作をしたり、不適切な服装で工事を行ったりした
- 電気工作物に使われている部品が劣化していた
- 電気工作物の点検が不十分だった
- 自然災害や交通事故などの複合的な要因
- 違法な電気工事
などがあります。自然災害や交通事故などどうしても防ぎきれないものもありますが、原因のほとんどが人為的・作為的なものです。ですから、電気事故の事例を公表し安全教育などを行っていれば防げる事故も多いでしょう。
2-2.電気事故対策の必要性
前述のとおり、電気事故はすべての電気機器で発生する恐れがあります。その中でも高電圧の電気を使用する事業用電気工作物は、死亡事故が発生する可能性がより高いでしょう。
また、漏電火災などが起これば電気工作物を設置している場所の周辺にも、悪影響が出ます。発電所・変電所で電気事故が発生すれば、停電になることもあるでしょう。現代の生活は電気がなければ成り立ちません。そのため、電気事故対策は大切です。
2-3.電気事故の対策法
電気事故の対策方法としては、
- 電気工事士以外は、軽微なものであっても電気工事を行わない
- 事業用電気工作物の自主点検は怠らない
- 交通事故などが発生しやすい場所は、保安部品・安全装置をしっかりと取りつける
- 電気工事・自主点検は適切な服装で行う
- 安全管理者などが安全教育で電気事故の怖さや予防対策を教える
などの方法があります。次の項でご紹介する電気事故の報告も電気事故対策に役立つものです。
3.電気事故の報告について
この項では、報告が必要な電気事故や報告する場所・報告の方法について解説します。どこに報告すればよいのでしょうか?
3-1.電気事故の報告とは何か?
自家用電気工作物(電力会社から600Vを超える電圧で、受電して電気を使用する設備)を設置してある施設の所有者や、電気事業者は以下のような事故を起こした場合、電気事業法と電気関係報告規則により、社会的影響を及ぼした事故の重大性から、経済産業大臣もしくは、産業保安監督部長に報告する義務があります。
- 感電事故・破損事故・電気工作物の誤操作などにより、人が死傷した事故
- 感電事故・破損事故・電気工作物の誤操作などによりほかの物件に損傷を与え、機能の一部を損傷もしくは全損させた場合
- 電気火災事故
- 主要電気工作物の破損事故
- 供給支障事故
- 水力発電所・火力発電所・燃料電池発電所・太陽電池発電所・風力発電所に属する出力10万kW以上の発電設備に関係する、7日間以上の発電支障事故
- ダムによって貯留された流水が当該ダムの洪水吐(こうずいばき)から異常に放流された事故
- 電気工作物に係る社会的影響をおよぼした事故
- 波及事故
なお、平成28年度4月から報告義務について定めている電気関係報告規則が改訂され、発電支障事故と社会的影響をおよぼした事故の報告義務が追加されました。
3-2.報告の種類
電気事故の報告は、速報と詳報(しょうほう)があります。速報の場合は、事故の発生を知った時から24時間以内に報告しなければなりません。詳報の場合は、事故の発生を知った日から起算して30日以内に報告書を提出しなければなりません。報告先は、各自治体にある産業保安監督部です。報告をする部署が決まっており、報告の手順などもホームページに記載されています。
3-3.速報の方法
速報の場合は、ファックス・電子メール・電話で最寄りの産業保安監督部に報告します。必ずメールアドレスや電話番号・ファックス番号が産業保安監督部のホームページに記載されていますので、普段から確認しておきましょう。
速報の内容は、
- 事故発生の場所
- 事故発生の日時
- 事故を起こした電気工作物の種類
- 事故の影響や概要・死傷者の数
を報告します。事故発生当初不明な点があった場合は、まず第1報としてわかる範囲で報告を行い、第2報・第3報と続けて報告を行いましょう。また、報告をする事故に該当するかどうかが不明な場合も、念のために報告しておくことが求められています。
3-4.詳報の方法
詳報の場合は、30日以内に事故の状況・被害の状況・原因の分析・再発防止対策をまとめて、産業保安監督部に提出します。書式や内容は各自治体の産業保安監督部によって異なるため、まずは最寄りの監督部のホームページで書式を確認してください。産業保安監督部によっては、ホームページから書式がダウンロードできるようになっています。必ず期限内に報告をまとめて提出しましょう。
3-5.注意点
電気事故の報告方法は、各自治体の産業保安監督部ごと、ホームページに説明が記載されています。しかし、それを読んだだけでは理解できないことも多いので、わからないことは業保安監督部へ質問しましょう。また、事故が起こってから報告の方法を調べても遅いので、自家用電気工作物を設置している施設の責任者や、電気事業を行っている事業者は、報告先や速報の方法などを把握しておくことが大切です。
4.電気事故報告に対するよくある質問
Q.家庭で電気事故が起こった場合は報告の義務はないのですか?
A.はい。ありません。ただし、事故が起こった場合は警察・消防等に通報してください。現場検証が行われます。
Q.報告する人に決まりはあるでしょうか?
A.ありませんが、電気設備の管理者や施設の責任者が行うことが一般的です。
Q.事故が発生した日が休日でも、速報は必要でしょうか?
A.はい。曜日にかかわらず24時間以内に報告してください。
Q.報告する必要のない事故を速報で報告した場合、詳報は必要ありませんか?
A.産業保安監督部の指示を仰いでください。報告書の提出を求められる場合もあります。
Q.対策方法が30日以内に定められなかったらどうすればよいでしょうか?
A.産業保安監督部の指示を仰いでください。
おわりに
今回は電気事故の報告について解説しました。大規模な電気事故が発生した場合、被害は膨大なものになることも珍しくありません。電気設備は保安が重要ですが、万が一のことを考え報告先や方法を把握しておきましょう。特に、速報はスピードが大切です。
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