電気設備の耐用年数は何年?電気設備工事が行える資格と共に徹底解説

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電気設備とは、電気を安全に使う設備の総称です。電気を作る発電設備や電気を送る送電設備・受電設備・変電設備などたくさんの種類があります。一般家庭から発電所・変電所など電気を扱う施設・工場・ビル・商業施設など、電気設備はありとあらゆる場所に設置されているのです。電気設備が常に安全で正常に使えるように整備点検をすることも、施設管理の重要な仕事になります。

そこで、今回は電気設備の耐用年数や整備点検の方法・電気設備工事や保安監督ができる資格などをご紹介しましょう。

  1. 電気設備とは?
  2. 電気設備の耐用年数について
  3. 電気主任技術者と電気工事士の違い
  4. 電気主任技術者の資格を取得するには?
  5. 電気設備の耐用年数に関するよくある質問

この記事を読めば、電気設備を定期的に整備点検する大切さも分かります。電気主任技術者や電気工事士の資格を取得したい方も、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。


1.電気設備とは?

電気設備とは、前述したように電気を安全に取り扱うために作られた設備の総称です。電気を作り出す発電設備や変電設備・送電設備・受電設備・配線設備など、数え切れないほどの種類があります。電気設備の中で、電気を受電する設備・屋内配線・電気使用設備・発電設備・変電設備は電気工作物と呼ばれ、定期点検の対象となるのです。工場やビル・大規模商業施設などで利用する事業用電気工作物と、一般家庭や小規模商店などで使われている、600V以下で受電する需要設備などの一般用電気工作物があります。

また、事業用電気工作物の中でも、600V 以上で受電する需要設備や小出力発電設備は、自家用電気工作物とよばれているのです。なお、炭坑や火薬工場など火災の危険が高い施設では、電圧に関係なくすべての電気設備が自家用電気工作物に指定されています。

電気設備が故障したり不備があったりした場合は、電気が使えなくなるだけでなく火災などの原因にもなるでしょう。そのため、電気設備は電気事業法・電気工事法・建築基準法などで、設置の基準や定期点検の義務などが定められており、工事を行うのも有資格者に限られているのです。建築にかかわる多くの工事が有資格者の監督下ならば無資格者でも行えるのに対し、電気設備の工事だけは電気工事士の資格がないと行えません。

2.電気設備の耐用年数について

この項では、電気設備の耐用年数や不備が見つかった場合の対処方法などをご紹介します。電気設備は設置してからどのくらい持つものなのでしょうか?

2-1.電気設備の耐用年数とは?

電気設備の耐用年数は設備の種類によって異なりますが、おおよそ15年~25年を目安に作られています。ただし、年数はあくまでも目安ですので、それよりも前に寿命がくることもありますし、耐用年数を迎えても問題なく動いていることもあるでしょう。それでも、事故や故障が起きてからでは遅いので、事業用電気工作物は自主保安を行うことが法律で定められています。

2-2.電気設備の自主保安とは?

電気設備の自主保安とは、電気設備の設置者が定められた技術基準に適応するように、維持管理を行っていくことです。定期的な整備や点検も自主保安の一種になります。また、新たに事業用電気工作物(自家用電気工作物を含む)を設置する場合は、経済産業大臣に届け出が必要です。

なお、自家用電気工作物の点検は電気主任技術者という資格を持つ人にしか行えません。

2-3.電気設備の点検頻度

電気設備の点検は、日常点検・月次点検・年次点検があります。この頻度は、特に決まっていません。だからといって、数か月に1度・数年に1度という頻度では、経年劣化や故障の兆候を見逃してしまいます。この点検頻度は、電気主任技術者が決めて保安規程として策定したものを保安監督部に届出します。

各地方にある電気保安協会が点検の頻度の目安をホームページ上に記載しているので、参考にするとよいでしょう。なお、検査結果は一定期間保安しておく必要があります。

2-4.電気設備の点検を行うには?

前述したように事業用電気工作物の点検などの保安監督は、電気主任技術者しか行うことができません。ですから、事業用電気工作物(自家用電気工作物も含む)を設置してある施設は、電気主任技術者を雇用しておくか、電気主任技術者を定期的に派遣し、保守点検整備を行ってくれる会社に電気設備の自主保安を委託する必要があります。

なお、電気工作物の不備が見つかって工事が必要な場合は、第一種電気工事士の資格を持つ人が行わなければなりません。

3.電気主任技術者と電気工事士の違い

電気主任技術者は、事業用電気工作物の保安監督を行うことができます。電気工事士は電気工作物の工事を行うことが可能です。つまり、電気工事士が工事を行った電気設備が正常に作動し続けるよう保安監督を行うのが、電気主任技術者になります。同じ電気関係の資格ではありますが、仕事内容は異なるのです。電気主任技術者の資格だけでは電気工事を行うことはできませんし、電気工事士の資格では電気工作物の保安監督業務は行えません。

電気主任技術者には第1種・第2種・第3種の三種類があり、電気工事士には第一種と第二種があります。電気工事士と電気主任技術者の資格を両方取得している方もいますが、業務はどちらかだけを行うことが多いでしょう。

4.電気主任技術者の資格を取得するには?

この項では、電気設備の自主保安を行うことのできる電気主任技術者の資格を取得する方法や勉強のコツをご紹介します。参考にしてください。

4-1.電気主任技術者の資格を取得する方法

電気主任技術者になるためには、経済産業省が指定した学校で単位を取得し、実務経験を積んで認定を受ける方法と資格試験を受けて合格する方法があります。認定の基準は大変厳しいので、試験を受けて資格を取得する方法が一般的です。第1種・第2種・第3種ともに受験資格は定められていません。国籍・年齢・性別にかかわらず誰でも試験を受けることができます。

4-2.電気主任技術者の難易度や試験科目

電気主任技術者の試験は第3種と第1種・2種で異なります。第3種は理論・電力・機械・法規の筆記試験に合格すれば、試験合格です。第1種・2種は筆記試験である一次試験に加えて「電力・管理」と「機械・制御」2科目の二次試験があります。

第3種に合格するには、工業高校の電機科を修了する程度の知識が必要です。第2種は電気の専門学校、第1種は大学の工学部・電気科を修了する程度の知識が必要といわれています。ですから、全く知識がない状態から試験を受験する場合は、第3種からチャレンジしましょう。第3種に合格すれば、電圧が5万ボルト未満の事業用電気工作物の保安監督業務が行えます。

第三種電気主任技術者は、理論・電力・機械・法規の4科目を3年以内に合格すれば資格が取得可能です。ですから、3年かけて試験に合格する方も珍しくありません。試験には計算問題もたくさん出されますので、電卓の持ち込みが認められています。

合格率は第1種・第2種・第3種において数%~十数%しかなく、電気関係の資格の中では最も難易度が高いものです。

4-3.試験の申し込み方法

電気主任技術者の試験は、電気技術者試験センターが主催しています。こちらのホームページから電子申請で試験の申し込みが行えるので、利用してみましょう。第3種電気主任技術者の試験は、毎年9月に行われます。受験費用は4,850円です。試験地は全国各地で行われますので、受験票で確認してください。

4-4.勉強方法のコツ

電気主任技術者の試験勉強は、独学か通信教材を利用した方法があります。予備校的なものもありますが、数が少ないので東京や大阪など大都市に住んでいないと受講するのは難しいでしょう。各自治体の職業訓練校が対策講座を開いているところもあります。これは大変人気がある講座なので、受講したい方は早めに申し込んでください。

独学の場合は、書店で参考書と過去問題集を買って勉強しましょう。電気書院から発刊されている「これだけシリーズ」などが人気です。電気主任技術者の試験勉強は、電気数学の知識がなければ参考書を読んでも理解できないことが多いでしょう。中学や高校の物理で電気について学んだだけという方は、先に電気数学の参考書を購入し勉強するのもおすすめです。

5.電気設備の耐用年数に関するよくある質問

Q.定期点検はどのくらいの頻度で行ったらよいのでしょうか?
A.月次点検は毎月~3か月に1度、年次点検は1年に1度行うのが目安です。

Q.使用前の点検は電気主任技術者でなくても大丈夫でしょうか?
A.使用前の点検は、急な故障などがないか、使っていない間に異常が起きていないかどうかを確認するものですから、普段設備を使用している方でも行えます。

Q.電気主任技術者の資格を取得すれば、給与アップなどは可能ですか?
A.資格手当などを付ける企業は多いと思います。ビルメンテナンス業では、電験3種の資格所有者は3,000円の手当、さらに現場の電気主任技術者に選任された場合は 1,000円プラスという例もあります。

Q.電気主任技術者が点検をした結果、異常が見つかった場合はどうしたらよいですか?
A.すぐに修理が必要になります。外部に保安業務を委託している場合は、そのまま修理を行ってくれるでしょう。

Q.学生でも電気主任技術者の資格を取得することはできますか?
A.可能です。工業高校や大学の工学部では学校ごとに試験の申し込みを行っているところもあるので、チャレンジしてみてもよいでしょう。

おわりに

今回は、電気設備の耐用年数や保安業務が行える資格についてご紹介しました。電気設備は建物の目立たない場所に設置されていることが多く、毎日利用している方でもどこにどのような設備が設置してあるのか分からないこともあるでしょう。しかし、建物を安全に使うためには電気設備の維持管理が重要です。

保安業務が行える電気主任技術者の需要は高く、資格を取得しておけば転職にも役立つことでしょう。なお、電気主任技術者の資格を取得して一定の実務経験を積めば、独立も可能です。