第3種電気主任技術者の資格を取得したい方必見!合格率や勉強方法は?
2016/07/11
2021/04/07
就職や転職のために何か資格を取りたい。と思っている方は少なくありません。一口に資格といってもいろいろな種類がありますが、その中でも人気なのが電気関係の資格です。電気は私たちの生活になくてはならないものです。電気工事や保守・点検には必ず資格が必要です。
そこで今回は、電気関係の資格の中でも受験者が多い第3種電気主任技術者について、ご紹介します。「就職に有利だけれど、難しい」「何度も挑戦してやっと受かる」という方も少なくありませんが、その理由は何でしょうか?
この記事を読めば、第3種電気主任技術者の試験が難しい理由や、合格率さらに効果的な勉強方法が分かります。資格取得を目指している方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。
1.第3種電気主任技術者とはどんな資格?
はじめに、電気主任技術者とはどのような資格かということをご紹介します。取得していればどのような仕事ができるのでしょうか?
1-1.電気主任技術者とは?
電気主任技術者とは、事業用電気工作物の保安監督が行える資格です。事業用電気工作物とは、発電所や工場、ビル、大規模商業施設など高電圧の電気を使用する場所の発電や配電、受電設備のことです。事業用電気工作物は、「事業用電気工作物の保安規制」によって、定期的に電気主任技術者による保守点検が義務づけられています。そのため、電気主任技術者を必要としている場所は、皆様が思っている以上にたくさんあるのです。
1-2.電気主任技術者の種類とは?
電気主任技術者は1種・2種・3種の三種類に分かれています。今回ご紹介する3種は、電圧が5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5000キロワット以上の発電所を除く)を取り扱うことができるのです。2種、1種と数字が小さくなるにつれて、取り扱える事業用電気工作物の電圧は上がっていきます。資格の中には、最上位資格の取得以外は扱えるものがほとんどないというものもありますが、電気主任技術者は3種でも取り扱える電気工作物は少なくありません。
1-3.電気主任技術者の就職先はどこ?
電気主任技術者の資格を取得すると、電気保安を行う会社などに就職ができます。また、ビル管理を行う会社も、電気主任技術者の有資格者を優遇しているところが多いのです。さらに、電気主任技術者の資格を取得し、一定期間の実務経験を積むと独立が可能になります。独立をして電気保安を行う会社と業務委託を結んで自営業者として働く有資格者も少なくありません。ちなみに、第3種電気主任技術者の独立に必要な実務経験は5年です。
2.第3種電気主任技術者の資格を取得するまでの流れ
では、第3種電気主任技術者の資格を取得するには、どのような方法があるのでしょうか? この項では、資格取得までの流れや試験の難易度などをご紹介します。
2-1.試験の難易度はどのくらい?
第3種電気主任技術者の資格を取得するには二つの方法があります。一つは、工業高校、高等専門学校、大学などで電気工学を専攻し、指定の単位を取得し、認定講習を受講する方法です。
そして、二つ目が、試験に合格する方法です。認定試験を受けられる方は限られていますので、大部分の方が試験にチャレンジします。第3種電気主任技術者の試験の難易度は、工業高校の電気科を修了した程度です。ですから、全く知識がない方が一から勉強する場合は、内容を理解するまでに時間がかかるでしょう。
また、試験は計算問題が多数出題されます。特にひねった問題は出ませんが、公式を覚え、それを完璧に使いこなせるようにならないと解けない問題が少なくないのです。
さらに、電気主任技術者以外の資格の中には過去問と全く同じ、もしくは似たような問題がよく出るものもあります。しかし、電気主任技術者の場合、過去問題と同じ問題はほとんど出ません。ですから、「過去問題を丸暗記して試験に合格する」ということはできないのです。そのため、全く知識がない状態で試験にチャレンジしたい場合は、「電気数学」から勉強を始めるか、「第二種電気工事士」など少し安易な資格をまずは取得してみましょう。
2-2.受験資格と試験内容とは
電気主任技術者の試験に受験資格はありません。年齢や性別・国籍に関係なく取得できます。第3種電気主任技術者の試験は、理論・電力・機械・法規の4科目のマークシート方式です。
第1種、第2種は一次試験と二次試験がありますが、第3種は一次試験だけとなっています。マークシート方式ですが計算問題が多数出題されますので、電卓の持ち込みが可能です。各教科60%以上の正解率で合格となりますが、合格した科目は2年間持ち越せるので、3年かけて合格する方もいます。
2-3.試験の申し込みの方法
第3種電気主任技術者の試験を受験したい場合は、電気技術試験センターのホームページから申し込みましょう。ゆうちょ銀行(郵便局)の払込取扱票による申し込みも可能ですが、ホームページから申し込んだ方が簡単です。手数料は、クレジットカード決済・銀行払い込みなどが選べます。社会人の場合は、クレジットカード決済が一番簡単でしょう。
毎年5月下旬~6月の上旬が受付期間で、9月の第1週あたりに試験日となります。2019年度の試験日は9月1日です。電気技術試験センターのホームページから、試験の申し込み方法のPDFが閲覧可能ですから、まずは熟読して申し込んでください。
2-4.試験の申し込み~試験までの流れ
協会のホームページから試験を申し込む場合、試験料は4,850円です。試験を申し込む際、受験希望地を聞かれますので、忘れずに記載しましょう。試験は全国で行われますが、東京や大阪といった都市部の場合は試験地が複数あります。ですから、最寄りの試験地で受験ができるよう場所を調べておいてください。
なお、申し込みの後で試験地を変更したいという場合や、住所氏名が変わったという場合は、ホームページから修正が行えます。試験日は年に1回しかないので、必ず受けられるように調整をしておきましょう。申し込みが正しく行われた場合は、受験案内に記載されている期日までに受験票が届きます。そこには、住所氏名・試験地・免除される試験内容などが書かれているので、必ず目を通してください。
不備がある場合は、「03-3552-7691」(電気技術試験センター・本部事務局)に問い合わせましょう。当日は受験票・電卓・筆記用具を忘れずに早めに会場へ向かってください。
2-5.合格率など
第3種電気主任技術者は、電気主任技術者の中で最も受験者数が多いです。平成30年度の受験者数は、45,720人で合格者数は3,698人。合格率は8.1%でした。平成19年度からずっと合格率は10%を切っていますので、難易度の割には合格が難しい試験といえるでしょう。
3.試験勉強の方法とコツのご紹介
さて、ここまで記事を読んでいただければ、第3種電気主任技術者の試験が難しいことがご理解いただけたと思います。では、どのように勉強をすればより合格に近づけるのでしょうか? この項では勉強の方法やコツをご紹介します。ぜひ参考にしてください。
3-1.過去問をチェックしてみよう
電気主任技術者の直近の過去問題は、電気技術者試験センターのホームページから無料で閲覧できます。これをまずは見てみましょう。問われている意味すら分からない場合は、半年以上かけて勉強するつもりになってください。
3-2.おすすめ参考書
これだけシリーズ
電験三種のお勧め参考書では、必ず名前が挙がる参考書です。4科目分あり、電気の基礎知識が備わっている方にとってはかなり分かりやすいでしょう。まずはこれを読んで理解を深め、過去問にチャレンジする方が多いです。
優しく学ぶシリーズ
こちらも人気の参考書です。「優しく学ぶ」とある通り、解説が丁寧で図も多く分かりやすいでしょう。こちらも4科目分ありますので、時間をかけて学びたい人向けの参考書です。
漫画で分る電気数学
電気の知識がほとんどない方が、「電気数学とは何か」を理解したいときにおすすめの参考書。特に、「理論」の補助参考書として人気があります。これだけシリーズや優しく学ぶシリーズでも理解ができない部分がある場合、補助参考書として利用してみてください。
3-3.テキストを選ぶコツ
電気主任技術者は1科目の範囲が広く、参考書も厚くなりがちです。「ぶ厚い参考書を4冊も買うより、1冊にまとめたものが欲しい」という方もいるでしょう。しかし、知識がない方ほど、1冊ずつ別れた参考書のほうがお勧めです。1冊にまとまった参考書は、ページ数の関係から必要最低限のことしか書かれていないことが多く、読んでも理解できないことが少なくありません。
また、できるだけ図が多く入っているもののほうが理解しやすいでしょう。さらに、参考書とは別に過去問題集も必要です。参考書を読んで理解できたと思ったら、過去問題を解いてみましょう。公式を理解して使いこなせていれば解けます。解けない問題が出てきたら、その箇所をもう一度参考書で確かめて勉強し直してください。同じ問題は出なくても公式の使い方が分かれば、本番でも問題は解けるはずです。
ただ、10年に1回ぐらいしか出題されない特殊な問題は、後回しにするのも勉強の一つの方法です。基礎的な問題であるA問題は、全て解くのがよいですが、B問題は勉強時間との関係で解けない問題がいくつかあってもやむを得ないです。ポイントは、基本問題を完全に理解しておくことです。
学習のコツは、とにかく毎日問題を解き続けること。1日30分でもいいので勉強し続けることが大切です。週末まとめてやろうと思うと、かえって知識が身につきません。週末に10時間勉強するより、毎日暇を見つけて20分、30分と勉強し続けていきましょう。
20分あれば過去問が1問解けます。
3-4.講習会に参加してみよう
日本電気協会をはじめとする、電気の安全使用にかかわる団体の中には、電気主任技術者の試験対策の講習を行っているところもあります。「電気主任技術者 講習」でインターネットを検索すると、講習がヒットするでしょう。講習場所・料金・内容・回数は主催団体によって変わるので、まずはよく説明を読んで受講できるのか、自分に合っているのかをよく考えて申し込んでください。ただし、講習会場が東京や大阪といった大都市だけというケースも多いので、地方に住んでいる方は講習を受けるのが難しい場合も少なくありません。
5.第3種電気主任技術者に関するよくある質問
Q.全く知識がない状態から勉強する場合は、まず何から手を付けたらいいですか?
A.電気数学から理解を深めましょう。数学が苦手な方は高校の数学を復習してもかまいません。
Q.3年計画で受験をした方が楽ですか?
A.3年計画を立てた場合、もし1教科でも取りこぼしてしまうと、今までの努力が無駄になってしまいます。できれば1年で合格するつもりで勉強に取り組んでください。
Q.通信教材は価格が高いので、購入の決心がつきません。
A.確かに通信教材は参考書に比べると高価です。しかし、参考書の何倍も内容が濃く、さらにサポートもついていますので決して高すぎるものではありません。確実に合格したい場合は、ぜひ検討してみましょう。
Q.電験3種に合格して上位資格を目指したい場合はどうしたらいいでしょうか?
A.実務経験を積めば、認定講習をうけて2種や1種を取得することも可能です。ですから、資格を取得したらぜひ資格を活かす職に就きましょう。
Q.30代以上でも電気主任術者にチャレンジする価値はありますか?
A.50代~60代で資格を取得し、それをいかした仕事をしている方も少なくありません。ぜひチャレンジしてください。
まとめ
今回は第3種電気主任技術者の資格についてご紹介しました。ぜひこの記事を参考に勉強の計画を立て見てください。