電気事故には火災以外にどのようなものがある? その対策方法は?

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電気は、私たちの生活にはなくてはならないものです。そのためガス・水道とともにライフラインと呼ばれ、災害が発生した際に真っ先に復旧工事が行われるものの一つとなっています。その反面、電気は扱い方を間違えると漏電火災や感電事故などが発生する危険なものです。そのため、工事を行うには一定の資格が必要となります。

今回は、電気の事故や火災の事例を紹介しながら電気工事を行える資格について解説しましょう。

  1. 電気事故の事例
  2. 電気工事を行うことのできる資格とは?
  3. 電気工事士の資格を取得する方法
  4. 電気の事故に対するよくある質問

これを読めば、電気工事士の資格についてもよく分かりますよ。資格取得を考えている方は、ぜひ読んでみてくださいね。


1.電気事故の事例

はじめに、電気事故の事例やその原因などを解説します。なぜ、電気事故は起こるのでしょうか?

1-1.電気事故とは?

電気事故とは、電気工作物の故障や不備・整備不良・設計ミス・操作ミスなどによって発生する事故の総称です。雷による火災や台風による電気設備の被害(電線が切れるなど)は、電気事故として扱われません。現在は技術の発達により、電気事故は起こりにくくなっているように見えます。しかし、ちょっとしたミスや油断が電気事故を引き起こす事例もあり、各地の電気保安協会のホームページでは、その一例が記載されているので確認してみるのもよいでしょう。

1-2.電気事故の原因は?

前述したように、電気事故の原因は整備不良や故障が主です。その一方で、作業員の安全意識の低下が事故を招いた例も珍しくありません。たとえば、

  • 電気設備の担当者以外の人が整備や点検を行っていた
  • 電気工事用のヘルメットやゴム手袋をつけずに作業を行っていた
  • 無資格の方が電気工事を行っていた
  • 作業員同士の打ち合わせが不足していた

などです。

1-3.電気事故の恐ろしさ

電気事故は、一瞬で発生します。また、死亡事故になることも珍しくありません。電気は目に見えないので、事故を事前に予測することは大変難しいでしょう。

また、簡単な工事や整備ならば電気設備の保安業務を行う担当者以外でもできそうだ、と考えてしまう人もいます。特に、機械が急に故障した時は「すぐに修理しなければ」と考えがちです。そのような焦りの気持ちも事故につながります。

さらに、事故が大規模になると電気事故が起こった場所だけでなく、周辺の施設にまで影響が出ることもあるでしょう。すなわち波及事故です。

1-4.電気事故を防ぐためには?

電気事故を防ぐためには、

  • 定期的な整備や点検を欠かさない
  • 電気工事は有資格者だけで行う
  • 点検や整備にも、ゴム手袋や電気工事用のヘルメットを着用する
  • 電気工事を行う際は、長袖長ズボン・ゴム靴着用で行う
  • 電気工事を行う有資格者は、定期的に安全講習会に出席する
  • 電気工作物が故障した場合は、速やかに電気保安法人に連絡する

以上のようなことを守ることが大切です。

2.電気工事を行うことのできる資格とは?

電気工事は、電気工事士という資格を取得しないと行うことができません。ガス工事や給水管設置工事は有資格者の監督下でしたら、無資格者でも工事を行うことが可能です。しかし、電気工事だけは工事をする人全員が資格を取得する必要があります。電気工事士には第一種と第二種があり、第二種は600V以下で受電する設備の工事を行うことが可能です。第一種は、第二種が行える電気工事に加えて、最大電力500kW未満の工場・ビルなどの工事を行うことができます。

電気工事士の資格を取得すれば、ネオンサインの工事など特殊な電気工事も専門の講習を受講することにより、行えるようになるのです。資格を取得し、実務経験を積めば電気工事を行うあらゆる場所で引っ張りだこになることもあるでしょう。また、資格を活用して独立することも可能です。

3.電気工事士の資格を取得する方法

この項では、電気工事士の資格を取得する方法や勉強のコツなどを解説します。ぜひ参考にしてくださいね。

3-1.資格を取得する方法

電気工事士の資格を取得するには、電気技術者試験センターが主催する試験を受けて合格すれば取得可能です。なお、第二種は工業高校や職業訓練校などの認定校を卒業すれば、取得することができます。受験資格は定められていません。ただし、第一種電気工事士は専門学校や大学で電気関係の学部を専攻した場合は3年、それ以外の方は5年の実務経験がないと免状が交付されませんので注意しましょう。第一種電気工事士の試験に合格だけしておいて実務経験を積み、その後免状申請を行うことはできます。
無資格・無経験の状態で資格を取得したい場合は、まず第二種の取得を目指しましょう。

3-2.受験の申し込み方法など

電気工事士の試験は、第二種が年に2度、第一種が年に1度行われます。試験を受けることができるのは第1種は年に1度だけですが、第二種は年に2度受けることができます。試験を申し込みは、電気技術者試験センターのホームページから電子申請ができます。受験料は第二種が9,300円・第一種が10,900円です。

3-3.試験科目など

電気工事士の試験は、択一式の筆記試験と技能試験があります。技能試験とは、実際に工具を用いて電気工作物を組み立てる試験です。筆記試験に合格しなければ、技能試験を受けることはできません。ただし、技能試験に不合格になった場合は次回に実施される試験に限り、筆記試験が免除されます。

また、電気主任技師の資格を取得していたり、大学で電気工学に関する単位を取得していても筆記試験が免除になるので、詳しくはセンターのホームページを確認してください。

3-4.試験の難易度など

電気工事士の試験は、筆記試験が6割以上の得点で合格になり、技能試験は欠陥がなければ合格です。欠陥の判断基準はセンターのホームページを確認してください。未完成は当然欠陥と判断されます。合格率は第二種が45%前後、第一種が25~35%前後となっています。

筆記試験の勉強は独学でも大丈夫ですが、無経験の方が技能試験にチャレンジする場合は、独学では少々難しいでしょう。図面を書くことはできても、工事の手順を独学で完ぺきにマスターするのは大変です。そこで、技能試験を受ける時だけ、通信教材を利用したり電気工事や電気保安の団体が行う講習会に参加したりするとよいでしょう。

3-5.おすすめの参考書など

電気工事士の学科試験対策を独学で行いたいという場合は、書店やネットショップで販売している参考書を購入し、勉強しましょう。電気工事士は人気の資格ですから、参考書や過去問題集もたくさん販売されています。中でも、ツールボックス刊の「すいーっと合格シリーズ」は人気です。

4.電気の事故に対するよくある質問

Q.電気工事の事故は、家電を設置する際にも起こるものでしょうか?
A.家電を設置するだけでは事故が起こることはほとんどありません。しかし、説明書の指示どおりに設置を行わないと事故が起こる可能性があります。

Q.電気工事士は、電気工作物の整備などは行えるのでしょうか?
A.はい。行えますが、事業用電気工作物の点検は電気主任技術者の保安監督下でないと行うことはできません。

Q.電気工事を行っていないのですが、電気事故を起こしてしまうことはありますか?
A.はい。電気プラグにほこりが溜まっていることによって起こる電気火災などは、一般家庭でも発生する電気事故です。このような事故をトラッキング現象といいます。

Q.電気事故が起こった際、責任は誰にありますか?
A.電気工作物の所有者が責任を負うことが多いでしょう。ただし、安全対策を怠って電気工事を行った結果事故が起こった場合、電気工事士の責任が問われることがあります。

Q.電気工事士の資格は学生でも取得可能ですか?
A.はい。二種ならば大丈夫です。

おわりに

今回は電気事故の原因や対策、電気工事士の資格取得方法などを解説しました。電気事故は、一瞬の気のゆるみで起こることもあります。電気工事に従事している方は、安全講習に出席したり電気保安協会のホームページに記載されている事故事例などを読んだりして、安全対策に務めましょう。また、電気工事を行いたい場合は電気工事士の資格を取得してください。二種を取得していれば、一般家庭や小規模店舗の電気工作物の工事を行うことができます。