コンバインドサイクル発電の特徴は? わかりやすく解説します!
2015/12/28
2019/12/23
現在、コンバインドサイクル発電とその画期的な特徴が注目されています。テクノロジーが進化していくのと比例して、電気の供給がますます必要です。また、日本では発電所の安全性も大きな課題でしょう。その点で注目されているのが、コンバインドサイクル発電なのです。
それでは、コンバインドサイクル発電の特徴とメリットやデメリットをご紹介しましょう。
1.コンバインドサイクル発電とは?
1-1.コンバインドサイクル発電って何?
コンバインドという言葉は、組み合わせるという意味があります。ですから、コンバインドサイクル発電とは、組み合わされたサイクルで行う発電という意味です。コンバインドサイクル発電で組み合うのは、ガスタービンと蒸気タービンになります。現在、世界のエネルギー開発は、原子力ではなく、ガスへ移行するのが主流の傾向です。そのため、コンバインドサイクル発電の導入と開発は、日本だけではなく世界中で注目されています。
1-2.コンバインドサイクル発電が注目される理由
日本は自然災害の多い地域です。特に、東日本大震災で原子力発電による大規模な被害が生じたため、どのような発電方法が安全で効率的であるかが深く検討されています。そこで、注目されているのがコンバインドサイクル発電です。「CC発電」とも呼ばれるこの発電方式は、原子力発電よりも安全で熱効率が高いため、大変注目を集めています。また、建設費用も原子力発電の10分の1ほどにすぎません。安全であるため、無人運転による運用も期待されています。
1-3.改良型のコンバインドサイクル発電
コンバインドサイクル発電は現在も進化し続けている発電方式です。略称で「ACC」とも呼ばれている、「アドバンスド・コンバインドサイクル発電」は、通常のコンバインドサイクル発電よりも50パーセント高い効率で発電できます。そもそも、コンバインドサイクル発電は火力発電よりも効率のよい発電方式であるため、この「アドバンスド・コンバインドサイクル発電」は、1950年代の火力発電より3倍の熱効率で発電が可能です。このような進化は、高温にも耐えるタービンの開発によって可能になります。技術が進むにつれ、1500度ほどの熱にも耐えるタービンが開発されているため、今後もより高い効率のコンバインドサイクル発電が期待できるでしょう。
2.コンバインドサイクル発電の特徴
2-1. コンバインドサイクル発電の構造
コンバインドサイクル発電は、ガスタービンと蒸気タービンが合体した発電方式です。熱効率を無駄なく活用して発電を2回行う方式と考えればよいでしょう。まず、ガスを発生し、その圧力でガスタービンが回り、発電します。しかし、ガスタービンを回した排ガスはまだ熱をもっているため、その熱で水を沸騰させ、蒸気タービンを回すのです。このようにガスタービンを回しながら、蒸気タービンを回すことにより、2回の発電を行うサイクルとなります。
2-2.コンバインドサイクル発電の効率
コンバインドサイクル発電では、二つの発電方式を組み合わすため、構造は複雑です。しかし、それぞれの発電機は小型であるため、発電機を数多く設置して、大量の電力を作ります。
また、原子力発電や火力発電と比較して、発電機の起動や停止も複雑ではなく、時間もかかりません。また、発生した熱効率においては画期的な方式です。熱効率とは、熱エネルギーをどれほど有効に活用しているかを示す数値であり、コンバインドサイクル発電では50パーセントほどの熱効率となります。1700度に耐えるガスタービンの開発も進んでおり、その場合熱効率は65パーセントほどが期待されているのです。
2-3.コンバインドサイクル発電の安全性
原子力発電の危険は、東日本大震災で強く強調されました。突然の災害が思わぬ二次災害をもたらすのです。その点、コンバインドサイクル発電では、災害時の発電所が原因となる二次災害を減らすことができます。また、運用時やメンテナンス時に、原子力発電にあるような被曝(ひばく)の危険もないのです。地球にも、業務従事者にも安全であるため、コンバインドサイクル発電を発電所の主力とする期待が高まっています。
3.コンバインドサイクル発電のメリットとデメリット
3-1.コンバインドサイクル発電のメリット
地球を温暖化から守るために、二酸化炭素を減らすことは重要な課題です。世界各国が責任をもって進めなければいけません。コンバインドサイクル発電では、発電による二酸化炭素の排出量が火力発電に比べて少なくなります。また、窒素酸化物や硫黄酸化物の排出量も減るため、地球に優しい発電方式と言えるのです。
3-2.コンバインドサイクル発電のデメリット
もちろん、コンバインドサイクル発電にも危険の可能性はあります。天然ガスを用いるのであれば、タンクの火災が生じる可能性もあるでしょう。また、既存発電所を閉鎖して、発電所をすべて変更していくにはたくさんの資金が必要です。とはいえ、原子力発電や火力発電と比較するなら、そのデメリットはとても小さなものでしょう。
3-3.日本がリードしていく画期的な発電方式
日本は火力発電が中心となり、電力を供給してきました。そのため、日本の熱効率を活用した発電方式は研究が進んでおり、特にコンバインドサイクル方式では世界でもトップレベルの技術となります。この日本が誇る技術には、関連機材をメンテナンスする技術も大切です。発電所は常に電気主任技術者を選任して、保安と点検を行います。そのため、日本でも世界でも注目されるコンバインドサイクル発電においても、電気主任技術者が保安と点検で重要な役割を果たすでしょう。関連する電気技術や資格を複数もつなら、さまざまな分野で貴重な人材となり、業務の幅を広げることができるはずです。
まとめ
コンバインドサイクル発電は、地球環境のためにも、安定した電気供給のためにも、今後さらなる進化が期待できる発電方式です。この日本が誇る発電技術をサポートするためにも、電気業務の技術者が必要となります。今後その活躍が注目される電気主任技術者の資格を効率よく取得しましょう。
また、効率的に勉強するなら、電験3種をはじめ電気に関する複数の資格を取ることもできます。発電所でのメンテナンスや、さまざまな分野での活躍が期待できるでしょう。